Q:社会不安障害はどんな病気ですか?
A:初対面の人と会ったり、大勢の人の前での発表や発言などの社会的状況や行為の際には、緊張したり、またその前には不安になります。またすぐにはおさまらず、何度やってもなかなかなれないため、社会的状況や行為を避けたくなってしまい、社会生活に障害がでてしまう状態です。これまで対人緊張症、あがり症、赤面恐怖症と呼ばれていたものもこの障害に含まれます。
Q:社会不安障害ではどのような症状がみられますか?
A:自身が不合理と思うほど、周囲からの否定的な評価を過剰に恐れ、自分が失敗したり、恥をかいたりする可能性がある状況や行為に恐怖します。また恐怖にともなって、緊張・赤面・発汗・ふるえ・動悸・声がでない・息苦しさ・腹痛・尿意頻回・ぎこちない行動など身体の症状が現れるため苦痛が強く、さらに、この身体の症状が余計に周囲に「変に思われるのではないか」という不安につながり、緊張症状を強める結果となります。
Q:症状が社会生活におよぼす影響はどのようなものがありますか?
A:社会的状況や行為を避けるようになりますので、本来の能力を発揮する機会もなくなり、自信も喪失してしまいます。さらに避ける社会的状況が増えていくと、‘引きこもり’につながる場合もあります。
Q:発病するきっかけとしてはどのようなものがありますか?
A:社会不安障害は他の不安障害と比較して早い時期に発病します。多くは10代半ばに発病する一方で医療機関への受診は30代が中心と遅いため、発病のきっかけについてはよくわかっていませんが、発病に先立つストレスの関与も推測されています。
Q:原因としてはどのようなことが考えられていますか?
A:社会不安障害の原因は、まだはっきり分かっていませんが、不安をコントロールする脳内物質のセロトニンのバランスが崩れるのではないかと考えられています。
Q:どの位の人が発病するのでしょうか?
A:欧米の報告では約13%の人が、一生のどこかの時点で社会不安障害になるのではないかと考えられています。7人に1人くらいが程度の差はありますが社会不安障害になるという統計結果であり、非常に多い障害と言えます。10代半ばで発症することが多く、発症頻度に男女差はないとされています。
Q:社会不安障害を疑ったらどうしたらよいのですか?
A:社会不安障害は慢性に経過するため、症状を自身の性格上の欠点ととらえている方が多いようです。そのため、受診にはいたらず、長期にわたって一人で悩みつづけて我慢している方がほとんどです。社会不安障害を疑ったら早期に医師やカウンセラーに相談することをおすすめします。
Q:治療法にはどんなものがありますか?
A:不安神経症の治療の中心は、精神療法と薬物療法です。実際の治療では、この2つの治療法を併用することが多いのです。薬物療法としては、薬物療法は不安感情を抑えることを主な目的としており、SSRIや抗不安薬を用います。薬物治療と同じくらい大切なのは心理療法です。認知行動療法が社会不安障害に明確な効果をもちます。誤った不適応的な考えを見つけて、現実的・客観的に否定して適切な考えに置き換え、恐怖場面に対処する方法を習得させるものです。